思いを力に- エピソード

不登校の子どもに自信を与えるのは

昨年(2010年の秋)職員向けの人権研修がありました。 

この数年、不祥事や様々なクレームに対する研修が多くなりました・・・。

その是非はともかく、昨年まで4年間、職場のスクールカウンセラーだったS先生が、相談室に来る高校生の気持ちについて、1時間ほど、講義をされました。

スクールカウンセラーは、カウンセリングのプロです。皆さん、心理学を専攻され、資格を持ち、トレーニングを受けています。

県立高校のスクールカウンセラーは通常、3校のかけ持ちで、相談を受けています。

一番相談が多いのは進学校の生徒だそうです。

その講演の中で、S先生は、「親からの励ましの言葉より、友達や先生からの言葉の方が子どもに自信を与える場合が多い。

子どもは親がそのような事を言うのは、ある意味、当然だと思っている・・。」 と言われました。

その言葉に私は思い当たる事があったのです。

私が勤務する定時制高校は、単位制、2学期制です。

また夜間定時制ではなく、午後から夜にかけて学習をします。

また生徒が希望すれば、午前中の全日制の授業も受けることができます。

昨年までの4年間、高校受験時に長期欠席申請をして、入学してきた生徒の72~74%が、毎日のように登校しているという調査結果が出ているのです。

これはある意味、驚異的な数字です。 

中学校で不登校だった生徒の4人中3人が、高校に通えるようになるのは、公立全日制高校では、ありえないと思います。

また、不登校だった生徒は学習成績の評価がないので、実際に全日制高校に入学するのは、かなり難しく、大変なのです。

内申書に学習成績の点数がない長期欠席申請者に対しても、不利に扱わないとうことをしてきました。

勿論、学習成績がないのですから、面接や作文で、その生徒の良いところを評価しているのです。

ある時、長期欠席申請をして、合格し、毎日学校に通ってこれるようになった生徒に「なぜ高校に来られるようになったの。」と聞いたことがあります。

その生徒は、「授業が静かに行われていること。もう一つは中学時代、同じような経験をした生徒がまわりにいるから。」と答えました。

何人かの不登校だった生徒も同じような意見を言ってくれました。

S先生が言われるように、友達の支えの言葉や教師の言葉がとても効果的なのです。

不登校だった生徒があまり入学してこない全日制高校では、高校で不登校になったとき、多くの先生が不登校の生徒に対する経験不足で有効な対応を取れていないのです。

定時制に勤務し、たくさんの不登校の生徒を相手にしてきましたが、三男が不登校になるまでは、不登校になった親の気持ちが理解できませんでした。

日記には何度も書いていますが、ハーバード大学医学部教授・アンドルーワイルさんが、書かれた「癒す心、治る力」につぎのような一節があります。

「その病気を治す最良の薬は、その病気から立ち直った人の話を聞くことだ。」

今日のS先生の言葉はまさにこのことにつながるのです。

S先生とカウンセリングを重ねてきた通信制の女子生徒が元気に通えるようになったという事例を司会の通信制教員が紹介していましたが、カウンセリングの基本は顔と顔をつきあわせるface to face のコミュニケーションです。

相手の顔が見えない電話相談でのカウンセリングというのは、本当のカウンセリングにはなり得ないと私は思っています。

くるみの学校は、不登校、ひきこもり、ニート、悩んでいる人に対し、北海道南富良野町の自然や人と触れあう体験活動を通し、元気になる為の支援をします。

 

 

copyright(c)2010-2012 くるみの学校